喫煙と健康 |
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| 昔々、「たばこ」は延命草あるいは長命草と呼ばれ、心を休め、ゆったりとした時間を喫煙で楽しむことを意味していた時代がありました。しかし、これは人生40年、50年と言われていた時代の話で、今や日本人の平均寿命は男性78.32歳、女性85.23歳となり、元気で老後を迎えなければならない時代です。「健康増進法」が本年5月1日より施行され、第五章、第二節には「受動喫煙の防止」にかんして記載され、禁煙運動が随所で進行しています。 生活習慣病の予防の観点から禁煙が重要であることは明らかです。喫煙の影響を喫煙者自身にたいする問題と、周囲に及ぼす影響、すなはち受動喫煙にわけて考える必要があります。煙草の煙には約4000種類の化学物質が含まれ、少なくとも40種類に発がん性があることが知られています。 煙草の三大有害物質は 1)ニコチン:一本の煙草に0.8‐1.9r含まれ、喫煙により肺から吸収され、8秒以内に脳まで到達します。血中の濃度が最大値の20‐50ng/mlの半分になるのに2時間を要し、分解産物のコチニン尿から半分排泄されるのに19時間必要といわれています。ニコチンは血管を収縮させ、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など血液の流れが悪くなって発病する病気に大きな影響を及ぼします。 2)一酸化炭素:煙草の煙に含まれる一酸化炭素は1-5%で軽い一酸化中毒の状態になります。血中の一酸化炭素ヘモグロビンは正常人で0.5%ですが、重喫煙者では3-10%と高値になります。 3)タール:ベンツピレンに代表される発癌性物質を含み、特に肺疾患のなかで肺がんは喫煙により発生頻度が5倍になるといわれています。喫煙指数(BT)は平均の一日喫煙本数と喫煙年数の積で表され、その値が400を超えると、肺がん発症の危険が増し、1000を越すと重喫煙群となり要注意となります。がんと喫煙の疫学的研究は1960年代より研究され、現在では世界的にも国内でも、がん予防を中心として禁煙運動が定着してきています。その他、肺気腫、慢性気管支炎、肺繊維症などの肺疾患も喫煙との密接な関連が指摘されています。 若年層の喫煙は年々増加傾向にあり、高校生で喫煙経験者は50%とも報告されています。肺がんにたいする影響は6倍にもなり、これだけでも成長期の若年者に対する禁煙教育が大切であることは言うまでもありません。また、女性喫煙者の増加の背景には男女同権意識、情報の地域格差がなくなったこと、金銭的余裕、ファッション、ダイエットなどの理由が存在するものと思われます。一方で妊婦への影響は流産、早産、死産、低体重児、乳児ニコチン中毒などと関連して深刻です。 喫煙は内向的、神経症傾向の強い人、ストレスが多く、それにたいする対処行動が未熟な場合に多いと言われています。また、アルコール、覚醒剤、麻薬などの薬物依存行動のひとつとも考えられています。 受動喫煙にかんしては副流煙に含まれる、ガス成分と浮遊粒子物質による影響があります。特に後者に含まれるベンツピレンの発生が周囲にたいして有害であると考えられています。しかし、それは線香の煙、蚊取り線香、直火による魚焼きなど日常生活の中でも時には吸入している物質です。副流煙の周囲の人々にたいする影響は環境中に浮遊する煙草の煙の濃度と吸入頻度が重要で、密閉空間すなわち屋内の場合は部屋の広さ、換気能力、喫煙本数が関連因子となります。屋外での喫煙は吸い殻の始末や歩行喫煙禁止などの喫煙のマナーを守れば他人への影響は少ないものと考えられます。喫煙者が嫌われる根底には、副流煙に含まれるアルデヒド類やメルカプタン類によるヤニ臭い刺激臭、煙草の煙による空気や部屋の壁などの環境汚染、火の用心などが主な理由です。禁煙運動がややもすると感情的に論じられ、もう少し冷静に客観的に判断しても良いように思われることがあるのは私だけでしょうか。 喫煙が種々の病気の誘因となり、タバコ病、すぐには発症しない沈黙の疾患のひとつであることから各自の健康管理のうえで禁煙は重要な課題です。みやぎ21健康プラン(県民健康栄養調査)に記載によれば、男性喫煙者の56.2%のうち、「やめたい」あるいは「減らしたい」人は67.8%、女性喫煙者13.7%では70%でした。喫煙者が煙草の害を自覚し、そして罪悪感すら抱いていることが推察されます。また、将来のある若年層の健康を護るために禁煙教育が教育の一環として推進する必要があります。一方で禁煙教育の基本はあくまでも家庭であることを忘れてはならないと考えています。副流煙については現時点では他者への健康障害の影響に配慮して喫煙のマナーを守ることが喫煙者に課せられた最低限の義務と言えます。 参考資料 みやぎ21健康プラン:宮城県健康福祉部健康対策課:平成14年3月 |
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Dr.Tessie |