のどとタバコ


 健診で診察をしていると、時々、面白いことに気づくことがあります。たとえばたくさんの人の「のど」、詳しく言うと咽頭後壁や前後の口蓋弓を診ていると、問診表の喫煙本数と「のど」の発赤の間に関連があることに気づきます。
 この間、ある専門学校の健診の時に試してみると、問診票を見ないでも、かなりの確率で一日の喫煙本数が10本単位で当たるから不思議です。原因はタバコに含まれるタール成分がのどの粘膜に炎症を起こし慢性的になっているためでしょう。慢性咽喉頭炎の状態です。個人差はあっても低タール、ニコチンのほうが同じ喫煙本数でも確かに発赤の程度がいくらか柔らかく感じられるから不思議です。風邪を引いていると、本数を多目に判断して誤診してしまうこともあります。
 彼らのひとりに「タバコを一日20本位吸うでしょう」と言うとびっくりした顔をしています。さらに追い打ちをかけて、「国産と外国産のタバコでは洋モクのほうで、しかも銘柄はラーク、マイルドでしょう」。びたりと当たりました。「スゲー!」と感嘆の声を発してくれるところがかわいいところです。後続の仲間にあの医者はタバコの本数が当たるし、種類も当てる、とびっくりしています。「お前も当ててもらえ」と、こそこそ言っているのが聞こえてきます。一躍、占い師に変身した気分になってしまいます。
 次の人はセブンスターを10本位でしょう。なぜわかるかと聞かれたので、「「のど」の奥に小さな星が点々と見えるのがセブンスターの特徴です」と答えると、納得した顔をして帰るところがまた面白い。
 種明かしをしておこう。喫煙をするかどうかは、確かに「のど」の赤さの程度が大切ですが、歯の色が変色して「やに」がついていないか、利き腕の指爪にタバコの「やに」がついていないか、タバコの臭いが服に染みこんでいないかがポイントです。タバコの銘柄は、その人の性格、おしゃれの加減、若者間の流行など、知っている情報をかき集めて、さらに自分の六感のすべてを使って判断します。気が小さそうなら、低タール、ニコチンのスーパーライト系、普通の人はライト系、依存的性格があると感じれば強い銘柄の喫煙を想像します。ポケットからタバコがチラッと見えたりすればしめたもので確信をもって言い当てることができます。
 また、喫煙に関する情報も大切です。喫煙率は成人全体で男性、53%、女性、13%で、女性は男性の4分の1です。未成年の15-19歳でも男性、19%、女性、4%、20-29歳でそれぞれ58%、23%という話があります。男性は30-39歳で、女性は20-29歳で喫煙率がピークになります。
 一日の喫煙本数は男性で1-10本が15%、約半数は11-20本で52%、21-30本が20%、31本以上のヘビースモーカーが14%程度、他方、女性は喫煙しても1-10本が43%、11-20本が46%と喫煙しても本数が少な目です。
 銘柄ではマイルドセブンがシェアの約30%を占め、セブンスター、キャスター、キャビンマイルド、フロンティア・ライト、ラークの順に続きます。
 こんな占い話をしながらも、若いうちはタバコの害が強く出ます。止めた方がいいですよ。どうしても吸いたいなら、50歳を過ぎてから、一日10本以内で喫煙を始めたら、と言うことにしています。
 Dr.Tessie