結核菌感染の有無を知る一つの検査法です。
ただし、結核菌に感染したか、類似の非結核性抗酸菌に感染したか、BCG接種の影響であるかの区別は、ツベルクリン反応だけでは判断できません。


●ツベルクリンのなかみは?

ヒト型結核菌の培養液から分離精製した物質(数種類のタンパク質)です。結核を発病することはありません。

●乳幼児ツベルクリン反応検査は?

以前は乳幼児にツベルクリン反応検査を行なって、陰性者にのみBCGを接種していました。しかし、平成17年(2005年)4月からは生後6ヶ月までの定期接種時には、ツベルクリン反応検査を行なわずに直接BCGを接種することになりました。生後6ヶ月以後の乳幼児にたいしてはツベルクリン反応検査を行なってからBCGを接種するのが一般的です。

●ツベルクリン反応検査についてのいろいろ
 ツベルクリン反応検査で、発赤や硬結(硬くなって“しこり”の状態)が現れるのは結核菌の感染やBCGを接種した場合です。そのメカニズムは結核菌やBCGに感作された細胞性免疫を司るTリンパ球と抗原物質であるツベルクリンとの特異的結合によって、発赤などを起こす体内物質が集まってくるからです。
 日本では発赤の長径が10mm未満ならば陰性、10mm以上ならば陽性と判定しています。陰性の場合は結核にたいする免疫を持っていないと考えられ、他方、陽性は、結核菌に感染した場合やBCG接種により結核に対する免疫がすでに成立していると考えられます。ヒト型結核菌と類似の非結核性抗酸菌に感染した場合にも陽性を示すことがあります。細胞性免疫が低下した状態ではツベルクリン反応が陰性になることがあります。

 なお、ツベルクリン反応検査により副反応を起こすことはありませんし、妊婦への検査も安全です。ツベルクリン反応検査をした当日に入浴してもかまいませんが、注射した部位をこすらないようにして下さい。
 また、医療、福祉施設など結核の感染の危険性が高い職場では、新規採用者および実習・ボランティアなどにたいして、ツベルクリン反応検査を2週間あけて2回行なう二段階法を実施することがあります。ツベルクリン反応検査を2回行なうと2回目の検査では、免疫反応が増強されるブースター効果が起こります。その時の測定値が本来持っている結核菌に対する免疫力を表すと考えられ基準値として記録されます。不幸にしてその後に結核菌の感染が疑われた場合には再度ツベルクリン反応検査を行なうことにより、その基準値よりも大きくなれば「感染あり」、あまり変わりがなければ「感染なし」と考えて、結核菌感染の有無の判断を行なうことができます。


●これからの結核検査「クォンティフェロン」について
 ツベルクリン反応検査では、結核菌の感染とBCG接種の影響を区別することが不可能なため、最近ではクォンティフェロンという検査も導入されるようになりました。
 これは、結核菌に特異的な二種類の蛋白(ESAT-6、CFP-10)を抗原にして、採血した血液にそれらを加えるとTリンパ球が刺激されてインターフェロンγが放出されます。それを定量的に測定することにより結核菌の感染の有無を判断することができます(模式図参照)。
 しかし、現時点では採血して、その血液を12時間以内に検査処理しなければならないこと、ツベルクリン反応検査より高額なことなど手技や経費面での制約があり、広く普及するまでには至っていません。今後はさらに改良が進み、ツベルクリン反応検査に変る結核菌感染の診断法として用いられると考えられています。








●BCGとは?
BCGワクチンを接種して結核菌に対する免疫をつけて結核を予防します。
免疫の効果は15年くらい有効と言われています。
BCGの名の由来は‘カルメットとゲランの菌’の頭文字をとっています。


●BCGのなかみは?
ウシ型結核菌を用い、毒性を弱めてつくった生ワクチンです。

●BCG接種は?
定期接種:
法律で定めた定期のBCG接種は、生後3〜6ヶ月に達するまでに行なうことになっています。なお、地理的条件、交通事情、災害の発生その他やむを得ない事情のある市町村においては生後1才になるまでに行ないます。

定期外接種:
上記の定期接種時期に何らかの事情でBCG定期接種を受けられなかった場合、成人でも必要が生じた場合(例えば、大学等の入学時や病院・施設等の採用時)には、初めにツベルクリン反応検査を行なって、結果が陰性ならばBCGを接種することがあります。

●BCGについてのいろいろ
上腕の外側に(それ以外の場所に接種するとケロイドの瘢痕になる場合があります)、溶解したBCGワクチンを滴下して、管針(9本の針がついたスタンプのような器具)で上下2箇所を強く押します。

(厚生労働省ホームページより引用)
 BCGにより結核菌にたいする免疫ができるメカニズムは次のとおりです。
 結核菌はウィルスと異なり細胞内に寄生する菌なので、Tリンパ球、マクロファージなどによる免疫、すなわち細胞性免疫が関わってきます。ちなみにウィルス感染は液性免疫により防御されています。BCGを接種すると、ウシ型結核菌がマクロファージに貪食され、抗原情報がTリンパ球に伝えられます。その後、感作されたTリンパ球はヒト型結核菌が体内に入ってきた場合にも働いてマクロファージを活性化し、侵入してきた結核菌を効率よく攻撃し、貪食して結核感染の進展を抑えます。
 BCGによる免疫効果は、接種後10〜15年位は持続しますが、生涯に渡って有効ではありません。
 BCGは、現時点では結核菌にたいする予防効果が認められた唯一の生ワクチンです。世界的に使用されてはいますが、結核の低蔓延国ではBCG接種を義務づけず、あるいは限定して接種をしています。例えば、アメリカでは乳幼児にたいしてBCG接種を行ないません。このため、日本人がアメリカに留学や仕事で渡航する場合には、BCGが原因でツベルクリン反応が陽性であったとしても、結核菌の感染者とみなされてしまいます。この場合には胸部X線検査を受けて肺結核でないことを証明しないと、入学等を拒否される恐れがありますので注意が必要です。


●BCGの副反応などについて
 BCG接種後にみられる局所の反応は、接種後、2〜6週頃に管針の針の部分が発赤して小さな膿をもつ反応が見られます。通常は1〜3ヵ月で“かさぶた”ができて自然に治るのが正常の経過です。

1)BCGの副反応
 稀に接種側の腋窩リンパ節やその他のリンパ節が腫れることがありますが、多くの場合は長くても6ヵ月までには自然に消失します。また、非常に稀に皮膚結核様病変、全身播種性BCG感染症、骨炎・骨髄炎・骨膜炎、などが報告されています。いずれも疑問がある場合は医療機関を受診してください。なお、BCG接種をした当日に入浴しても支障はありませんが、接種部位をこすったりひっかいたりしないようにしてください。

2)BCGの接種不適当者と薬剤の相互作用
 BCG接種は、発熱時、重篤な急性疾患、ケロイド体質、免疫疾患、特に免疫不全状態の人、結核の既往者、可能性も含めて妊娠している人などでは一般的には行ないません。また、副腎皮質ホルモン剤(局所に塗る軟膏は除く)や免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリンなど)の治療を受けている人もBCG接種を避けてください。

3)コッホ現象とは
 現在の日本の法律では定期のBCG接種は生後6ヵ月までにおこなうことになっています。しかし、知らないうちに接種前に結核菌に自然感染していた乳児では、結核菌にたいする免疫がすでに成立している状態にあり、正常反応が短期に出現して、終了します。すなわち少なくとも接種後10日以内に接種部位に強い発赤が現れ、化膿がみられ、急速に“かさぶた”を生じて治ってしまいます。これをコッホ現象と呼び、それ自体は問題ではないのですが、接種前に結核菌の感染を受けていた可能性が否定できず、この場合は周囲の人々から乳児への感染や乳児の発病の有無をあきらかにする必要があります。
 疑わしい時には必ずBCG接種を受けた医療機関等に連絡して下さい。BCG接種後の正常な経過とコッホ現象の経過を下のパンフレットに記載しましたので参照してください。

パンフレット「BCG接種後の注意事項」
↓下をクリックすると別画面に表示します。(PDF形式)↓


 


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